
平日の夕方は、青山・渋谷方面にクルマを回します。この時間帯のターゲットは、買い物に来ているお金持ちの奥様たちです。青山の紀ノ国屋や広尾の明治屋といった高級スーパーマーケット、今はなくなりましたが渋谷の東急デパート本店、表参道の高級ブランドショップあたりです。ただ、彼女たちの移動はショップ間の1メーターがほとんどなので、ここでもいかに数を稼ぐかが勝負となります。
なお、ここらの場所では五反田方面に向かうお客さんも少なくないです。五反田には僕が所属するタクシー会社が契約するLPガススタンドがあるので、お客を降ろしたついでに必要ならガスを入れます。また、品川駅まで行って「つけ待ち」し、大森・蒲田方面のお客さんを狙い、その戻り足で五反田のスタンドによることもあります。もちろん、五反田から青山方面に戻るときもお客さんを乗せて戻るのが鉄則です。
奥様方の買い物タイムが過ぎると、ターゲットは再びエリートビジネスマンになります。彼らが会社を出て、赤坂や六本木に飲みに行くところを拾うのです。赤坂に行ったら、赤坂のTBSテレビ勤務のお客さんを銀座の飲み屋街に送るなど、常に連続性を意識します。
飲みに行くお客さんも、夜9時を回ると一段落してきます。なので、僕の場合はそこから11時までの時間を休憩に当てています。食事をとったり、仮眠したり。食事は基本、駐車場のあるファミレスでとります。青山墓地そばのデニーズは、駐車場があるということで運転手に超人気のスポットです。西麻布のかおたんラーメンや千駄ヶ谷のホープ軒などのラーメン屋さんも、駐車しやすい立地なので人気があります。なお、満腹になるまで食べると眠くなってしまうので、本当は軽食程度で済ませるのがいいと思いますが、ストレス解消の意味でも僕はがっつり食べていました。タクシー労働はカロリー消費が少ないのでたたり、僕は入社時より5キロほど太ってしまいました。
休憩所として人気が高いのは、公衆トイレ&駐車場のある公共施設です。とりわけ芝公園や、そのそばの港区立みなと図書館は人気です。こういう場所は運転手同士の情報交換の場所としても貴重です。タクシー運転手はある意味孤独な商売ですから、ついつい話し込んでしまい、余計な時間を費やしてしまうので要注意です。「今日の調子はどう?」「今、(営収)いくらぐらい?」程度の簡単な会話だけで、すぐに切り上げたほうがいいです。時間がもったいないです。 仮眠する場所は、なるべく上り坂の道路を選びます。上り坂で運転席のシートを倒し、ダッシュボードに足を上げる格好でカラダを伸ばすと、平地で仰向けに寝るのと近い角度になるからです。僕は、携帯をバイブにして、目覚ましタイマーを設定し、光をさえぎるためにハンドタオルを顔にのせて仮眠していました。

