
厚生労働省は、タクシー業務における連続8時間を超える運転を禁止していて、また、一乗務で最低3時間は休憩をとるよう定めています。最近は、料金メーターについているボタンを押して、タイマーで計算する「自動日報システム」が導入されているため、休憩したことにする「ズル」はできません。なので、運転手は一般的に、一乗務の中でまとまった休憩を2回とっています。昼休憩1時間、夜休憩2時間といった具合です。ただ、お客さんが確実に拾える時間に休むのは効率的ではないので、僕は業務日報とにらめっこし、たとえば平日夜なら、圧倒的にお客さんの少ない夜9時から11時をまるごと休憩時間にあてていました。
あとは残りの1時間をどうするか。もちろん夕方と深夜はかき入れ時ですから昼間の時間帯となりますが、昼間は昼間で距離や乗車数にばらつきはあっても、決まった時間に客足が途絶えるようなことはありません。そこで考えたのが、その1時間をすべて花番待ちで消化する方法です。花番というのは、つけ待ちの順番が1番の場合を指すタクシー用語です。たとえばホテルや駅のタクシー乗り場では、お客さんは先頭の車から順番に乗るルールになっています。この先頭の車が花番です。ビルの入り口などで1台だけでぽつんとつけ待ち停車している場合も花番扱いになります。そして花番のポジションに限り、メーター横の休憩ボタンが押せる決まりとなっています。花番では10分以上車を動かさないと休憩時間に加算されます。9分で動いてしまうと「休憩ゼロ」扱いですが、そのほとんどはお客さんが乗ってくれたためですから、それもプラスと考えます。どっちにころんでも効率的な方法なのです。
休憩の間は、AMラジオを聴いたり、ワンセグ携帯でテレビを見ながら待機します。ラジオはどのチャンネルでも少なくとも1時間に一回、都内の交通情報を教えてくれるので、かなり便利です。本を読みながら待機している人もいますが、本に集中するあまりお客さんを見逃したり、眠くなったりするので僕はお勧めしません。
なお、夜休憩は9時から11時にとるとお話ししましたが、それは平日に限ります。土日・祝日はその時間帯が勝負ですから、深夜も忙しい土曜日なら午後の時間帯に30分以上のまとまった休憩を何度か入れて消化したり、終電後にお客さんが激減する日曜・祝日は、会社の車庫に戻す前にまとまった休憩をとるようにしていました。
こうやって休憩時間を調整していけば、曜日ごとの営収ブレも少なくなり、1週間どの日でも平均して数字が作れるようになります。 もし自分が休憩時間と定めていない時間に眠気が襲ってきた場合は、駐車場などに止めて10分ほど仮眠をとります。僕はこれだけでまず体調が復活するので問題はありませんでしたが、たまに10分のつもりが2時間ほど寝過ごしてショックを受けることがありました。ただ、無理して事故を起こすより100倍ましです。仕事の流れが悪いときはあえて休憩を入れて悪い流れを断ち切ることも意外に効果があります。逆にものすごく流れがいいときは、そのまま休憩を入れずに営業を続けるべきです。

