僕は完全な無賃乗車の経験はないですが、それに近いものはありました。歌舞伎町でヤンキー風の女性2人組に拾われたときのことです。上野合羽橋までの指示でしたが、到着すると「財布のお金が足りないから、すぐそばに家があるのでここで待っていて」と言い残し、降りていきました。その後、15分待っても戻ってきません。やられたなと思いましたが、不足分は1000円程度だったので、そのぐらいなら新しいお客さんを捕まえて取り返したほうがいいと判断し、その場を離れました。手持ちの金がないと言われた場合は、警察に介入してもらわない限り運転手が立て替えざるを得ません。お客さんに住所と名前を聞いて、あとでこの口座に振り込んでとメモを渡しても、振り込んでこないケースが多いでしょう。本当に困ったものです。金額が大きければ、すぐに交番に行くべきです。

寸借詐欺に遭いそうになったこともあります。新宿伊勢丹前あたりで男性のお客さんを乗せました。歌舞伎町経由で横浜方面に行きたいというので、まず歌舞伎町のホストクラブ前につけました。知り合いの女性がホストクラブで遊んでいるから、ピックアップして帰るとのことでした。ただ、その彼女がホストクラブ代を払えないから僕に5万円貸してくれと頼んできたのです。その男性の自宅が大久保にあるから、そこに寄ってすぐ返すとのこと。そこから最終的には横浜に向かうという話だったので、一瞬はラッキーとも思いました。ただ、どこか心配だったのでしょうね。お貸ししますが、一応免許証を置いていってくださいと伝えると、男性の顔が急に曇り、「それならいいや、ここで降りるよ」と、初乗り料金を払って降りていきました。しかも、10円玉や50円玉をかき集めての支払いです。その3週間後、新聞の朝刊に彼の写真が載っていて、僕のときと同様の手口で運転手から金をくすね、寸借詐欺で逮捕されたということでした。タクシー運転手は長距離の誘惑に弱く、うまく運転手心理を突いていたのです。

特に歌舞伎町はこのようなお客さんに出会う可能性が他の街に比べ格段に高いのが事実です。もちろん腹立たしいのですが、イライラすると次の営業に感情を引っ張ってしまい、良い接客ができなくなります。こういう場合は、「お客さんもいろいろ大変なんだなあ」と、大きな心で、すっぱり忘れることにしています。